Prologue
本の中にある空間は
いつでも出入り自由だ。
好きな時に扉を開けると、
固まっていた時間がとろりと溶けて空間を満たす。
ゆっくりと展開していく物語に
派手に色付けすることもできれば、
柔らかく包んでぼやかすこともできる、
想像上の私だけの世界。
本の中であらゆる生き物たちは交差し
それぞれのタイミングで現れては消えていく。
登場人物がメッセージを抱えて
こちらまでほんの数ミリの距離まで近づいて来ることもあれば、
ある時は、鏡に映る自分になっていたりもする。
「物語」という魅惑的な世界の
眠っているような、
醒めているような、
曖昧でいてそれ以外にはない空白にわたしは浮かんでいる。
そう、気がつけば
わたしは物語の中にいた。
「日常にある くりかえし
旅にある はじまりとおわり
混ざり合う いきているものたち」
そしてそんな風景を
小さくチョキンと切り取って
紙に貼って飾りを付けてみたら
こんな風に仕上がった。
「hinatabook」
ちょっとした物語のおすそ分け
交差する時間を どうぞ。
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